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家づくりに「鉄のカーテン」が必要な理由【後編】

分離か一貫か……それが問題だ。


前編では、設計と施工の間に「鉄のカーテン」を引くことの大切さについてお話ししました。仲が悪いほうがいいのではなく、プロとして健全な緊張感を保つこと。それが結果として、あなたの家を守ることに繋がります。


では、実際に家を建てる際、どのような契約の形を選べばその「安心」を手にできるのでしょうか。今回は、設計事務所と施工会社を分けて契約する「設計施工分離」という選択肢について、そのリアルな姿を紐解いていきたいと思います。


「鉄のカーテン」設計施工分離がもたらす、たった一つの、けれど絶大なメリット

看板
Image by Jon Tyson from Unsplash

この方式は、文字通り「鉄のカーテン」を会社単位で物理的に分ける手法です。一番のメリットは、100%施主の味方として、プロが現場を厳しく見守ってくれることにあります。


設計者は施工会社から給料をもらっているわけではありません。ですから、現場で万が一ミスや見落としを見つけたとしても、会社に気兼ねすることなく、毅然とやり直しを命じることができるのです。


また、コストの透明性も見逃せないポイントです。一つの図面をもとに、複数の施工会社から相見積もりを取ることで、材料費や利益率がはっきりと見えてきます。ハウスメーカーの坪単価というブラックボックスに惑わされることなく、競争原理が働くことで、適正な価格で家を建てることが可能になります。



自由の裏にある大人の責任

一方で、この分離発注は、施主様にとっても少しばかりハードルの高い選択かもしれません。メリットの裏には、知っておくべき負担も存在します。

悩むこども


◆目に見える設計料

建築費に含まれて見えにくくなりがちな「設計・監理料」が、工事費の10〜15%程度、はっきりとした別枠で発生します。設計施工でよく耳にする「設計料は無料です」。実はこれ、表向きは0だったとしても工事費の中にちゃんと含まれています。

そもそも設計料とは、単なる図面代ではありません。あなたの想いを形にするための専門家の膨大な思考の時間と、監理という正義感への対価です。


ここをタダにするということは、その責任を放棄するか、建築費にこっそり上乗せするかのどちらか。透明な安心を買うための設計料は、家を支える基礎と同じくらい、削ってはいけない大切な投資なのです。


◆責任所在の難しさ

万が一不具合が起きた際、窓口が一つではありません。設計の問題か、施工の問題かの判断が必要になり、対応に時間がかかるケースもあります。


◆工期が長くなる傾向

じっくりと設計を完了させてから施工会社を選ぶため、一貫体制よりも入居まで数ヶ月ほど長くかかるのが一般的です。ただし、着工後の変更はミスが多発する大きな原因ですので、着工までに細かく決めておくことが大切です。


ローンや銀行とのやり取りも少し煩雑になりますが、これらはすべて理想の住まいを正しく形にするためのコストと言えるかもしれません。



あなたに合った「カーテン」の作り方

結局のところ、どちらが正解ということはありません。大切なのは何を優先するかです。


>設計施工分離が向いている方:予算を透明にし、手間を惜しまず、高品質で唯一無二の住まいを追求したい。


>設計施工一貫が向いている方:信頼できるブランドにすべてを任せ、パッケージ化された中でスムーズに家づくりを進めたい。


もし、利便性を優先してハウスメーカー(一貫体制)を選ばれるのであれば、一つだけアドバイスがあります。それは、第三者機関のホームインスペクション(住宅診断)を自費で依頼することです。もし組織の中にカーテンがないのであれば、外からプロの目を持ち込めばいいのです。


まとめ

標識
Image by Brendan Church from Unsplash

家づくりは、一生に一度の大きな決断の一つです。大切なのは、どの契約形態を選ぶかよりも、「その仕組みにおいて、誰がどの役割を担い、誰に対して責任を負っているのか」を冷静に見極めること。


イロイロ考えると面倒だしどうでもよくなっちゃうかもしれません。 でも数千万円の大きな買い物です。仕組みを正しく理解し、納得感を持ってパートナーを選ぶこと。それが、何年経ってもこの家で良かったと思える、後悔のない住まいづくりへの第一歩になります。





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